涙と感謝の卒業祝賀会:星槎道都大学ブレイブエルフィンズが紡ぐ成長物語
- SEISADOHTO BASKETBALL
- 3月15日
- 読了時間: 6分
更新日:3月16日
一瞬春の淡い日差しが差し込む札幌北広島クラッセホテル。星槎道都大学ブレイブエルフィンズの総会に続き、卒業祝賀会の扉が開かれた。その場に流れていたのは、単なる別れの悲しみではなく、4年間の苦楽を共にした仲間たちの確かな絆と、これからの人生へ向かう決意に満ちた空気。
洗練された司会に宿る成長の証
記念誌の次第に沿って進行役を務めた新田杏樹さんの姿は、バスケットボールコートを離れた場での学生の可能性を雄弁に物語っていた。タイムキーパーとしての正確さ、絶妙な間合いの取り方、終始和やかな雰囲気を保つ心配りは、プロのアナウンサーを思わせるものだった。
その一挙手一投足には、チームメイトへの深い敬意と、この大切な瞬間を完璧に演出したいという思いが滲んでいた。新田さんの成長した姿は、日々のチーム活動の中で培われてきた「人間力」の結晶と言えるだろう。

大学の理念が結ぶ心の絆
記念誌には、星槎道都大学の飯浜浩幸学長から温かいメッセージが寄せられた。「共生社会の実現」という本学のミッションを卒業後も力を尽くしてほしいという祝福の言葉は、バスケットボールが単なるスポーツではなく、社会に貢献する人材を育てる教育の場であることを再確認させるものだった。
ブレイブエルフィンズの米野部長からは「ファーストペンギンの輝かしい未来へ」と題した祝福と感謝の言葉が贈られた。天敵がいるかもしれない海に最初に飛び込む勇敢なペンギンのように、リスクを恐れず新しいことに挑戦する精神を持った卒業生たちへの期待が込められていた。
その言葉は、これから社会へ旅立つ若者たちの背中を押すだけでなく、バスケットボールを通じて育まれた「挑戦する勇気」が、彼女たちの人生の宝物となることを示唆していた。

愛情と思い出がたくさん詰まった記念誌
言葉に紡がれる4年間の軌跡
記念誌に寄せられた4年生一人一人からのメッセージは、大学生らしい深い洞察と感謝に満ちたものだった。そこには単なる思い出話ではなく、バスケットボールを通じて得た人生の教訓と、共に歩んだ仲間への限りない感謝が綴られていた。
式典のクライマックスでは、事前に用意されたミニバス、中学、高校時代の懐かしい試合映像と大学時代のベストプレーを合わせた「成長物語」の動画が上映された。幼い頃からバスケットボールと共に歩んできた彼女たちの姿に、会場からは感嘆の声と温かい拍手が沸き起こった。
動画の後、壇上に上がった卒業生一人一人に、特にゆかりの深かった後輩がプレゼンターとして登場し、思い出と感謝の言葉を贈りながら、賞状と記念品を手渡す場面は、まさに「バトンの継承」を象徴するものだった。
涙で語られる挫折と克服の物語
4年生のスピーチは、後輩たちの心に深く刻まれるものとなった。「何度も何度も辛いこと、辞めたいと思ったこと」を涙ながらに吐露しながらも、「失敗や挫折、ケガという逆境やストレスから立ち直るために、自分の感情をコントロールし、自分なりのストレスとの付き合い方を見つけていく力で乗り越えた」という言葉は、単なる美辞麗句ではなく、血と汗と涙で獲得した人生の真理だった。
その言葉の背後には、夜まで続く練習、テスト期間中の時間管理との闘い、怪我との闘い、そして何より「辞める理由よりも、続ける理由」の尊さへの気づきがあった。彼女たちの語る「リジリエンス」は、バスケットボールというスポーツが持つ教育的価値を如実に表していた。
支える愛の力への感謝
特に会場が静まり返ったのは、大学選手権に出場できる選手は全高校バスケ選手の5%未満というなかで、ミニバス~大学バスケまでのあいだ、中途半端なバスケットボール指導者目線ではなく、ひたすら子どもを愛し、陰ながら支え続けた親の存在への感謝だった。
「勝てばドヤ顔、負ければ文句や罵声をあびせる親ではなく、ただただ我が子の成長を支え、挫折の日には黙って寄り添ってくれた」という言葉に、多くの人が頷き、目頭を押さえる場面があった。それは「教育バスケットボール」の真髄が、勝利や技術向上だけではなく、人間的成長を見守る愛にあることを示していた。
師弟の絆が結ぶ感動のフィナーレ
そして、誰もが忘れられない感動のクライマックスが訪れた。50代後半という年齢にもかかわらず、無償無休のなか「針の穴を通すくらいの視点」で細やかに彼女たちを見守り、4年間本気で向き合い続けた高橋和也ヘッドコーチが、顔をクシャクシャに涙しながら卒業生へ感謝の言葉を贈った。
「もう、あなた達に何も教えることはありません」という言葉には、指導者としての最大の成功—学生が師を乗り越える瞬間への誇りと感謝が込められていた。それは指導者冥利に尽きることであり、真の「人を育てる」ということの意味を体現していた。
高橋コーチの涙は、感傷ではなく、彼女たちの成長を見届けた師としての達成感と、これから社会という大海へと飛び込む「ファーストペンギン」たちへの限りない愛情の表れだった。

学生が学生を育て、師が弟子に育てられる循環
この卒業祝賀会は、星槎道都大学ブレイブエルフィンズという組織が持つ教育的価値を鮮やかに描き出していた。それは先輩から学び、自らが実践し、やがて後輩に伝えていくという好循環であり、同時に教える側と教わる側が共に成長する双方向の教育モデルの美しさ。
総会の組織的な運営から、卒業祝賀会の心温まる瞬間まで、全てが「人を育てる」という一つの目標に向かって有機的に結びついていることに気づかされる。これこそが大学スポーツの持つ教育力の真髄なのだろう。
バスケットボールが繋ぐ過去と未来
札幌北広島クラッセホテルで行われた星槎道都大学ブレイブエルフィンズの卒業祝賀会は、単なる別れの会ではなく、「共生社会の実現」という大学の理念と「ファーストペンギン」の精神を体現した若者たちの門出を祝う、感動に満ちた一日となった。
バスケットボールというスポーツを通じて培われた「挑戦する勇気」「逆境を乗り越える力」「仲間との絆」「感謝の心」は、彼女たちがこれから社会で活躍するための礎となることだろう。

そして、新田さんの洗練された司会進行から全ての後輩が一丸となり4年生に対して最高の会を贈りたいと気持ちが式典会場全体にきめ細かく表れ、全てが星槎道都大学ブレイブエルフィンズという組織が持つ教育的価値の深さを物語っていた。それは「勝利」を超えた「人間力」の育成であり、「技術」を超えた「生きる力」の伝承。
彼女たちが旅立つ先々で、この日の感動と学びが花開くことを、心から願わずにはいられない。
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